2002 年 22 巻 2 号 p. 106-109
後腹膜鏡下手術時の縦隔気腫を調査した.麻酔はチアミラール,ベクロニウムで気管挿管し,酸素,亜酸化窒素,イソフルラン,フェンタニルで維持した.体位は腎位とした.気腹は二酸化炭素で行い,圧は10cmH2Oであった.12例中4例で胸部X線写真上縦隔気腫と診断し,頸部皮下気腫は3例に認めた.いずれの症例も呼吸・循環の異常はなかった.頸部皮下気腫は気腹用二酸化炭素が後腹膜腔から横隔膜の脆弱部,縦隔を経由して生じたものと考えられる.皮下気腫は縦隔気腫が進行した兆候と考えられる.皮下気腫の有無にかかわらず縦隔気腫に注意が必要である.後腹膜鏡下手術では縦隔気腫の診断に術後胸部X線写真の撮影が必須である.