抄録
心拍動下冠動脈バイパス術と他の手術を同時に実施した計7症例を経験した.心拍動下冠動脈バイパス術と腹部大動脈瘤人工血管置換術との同時手術を行った症例では術中VTとなり,また,右肺上葉切除との同時手術を行った症例では癒着剥離を行った後,右肺上葉切除術を終了してヘパリンを投与したが,剥離面から大量に出血し,血圧低下,VT,Vfとなり術後8日目に死亡した.心拍動下冠動脈バイパス術は比較的低侵襲であるとはいえ,他手術と組み合わせて同時に手術を行う際には循環系への影響や易出血性も十分考慮に入れ,補助循環の準備をしておくなどの対策や,さらには同時手術を行うか否かについても十分考慮しなければならない.
