抄録
三叉神経痛(第2枝領域)の患者では,眼窩下神経ブロックが奏効しない場合には上顎神経ブロックやガッセル神経節ブロックが行われることが多いが,重篤な合併症の危険がある.われわれは大口蓋神経ブロックが奏効した2症例を経験した.症例1は79歳女性であり,症例2は66歳男性であった.眼窩下孔での眼窩下神経アルコールブロックでは効果は不十分であったが,大口蓋神経アルコールブロックを行ったところ,痛みは著明に軽減した.経口腔内法による大口蓋神経ブロックは重篤な合併症が少なく,手技が容易であり,麻痺部位が狭いという利点がある.眼窩下神経ブロックの効果が不十分な症例において,施行されるべきブロックと思われる.