日本臨床麻酔学会誌
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乳癌手術時,センチネルリンパ節生検で使用したパテントブルーが脈波型酸素飽和度測定に及ぼす影響
佐々木 俊郎麻賀 太郎柴田 俊成
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2002 年 22 巻 5 号 p. 193-197

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抄録

乳癌手術時に,センチネルリンパ節生検のため腫瘍直上皮内に注入されたパテントブルーが,脈波型酸素飽和度測定に与える影響について検討した.パテントブルー30mg注入後30分で経皮的酸素飽和度(以下SpO2)が有意に低下した.パテントブルー注入によるSpO2低下は注入後90分まで持続した.パテントブルーは640nm付近の吸光度が最大で,酸素ヘモグロビンの吸光度が最小となる波長に一致する.この波長は脈波型酸素飽和度測定に利用されており,赤色光の吸光係数が増加し赤色光と赤外光の吸光係数の比が増加するため,SpO2が低下したと考えられる.

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