2002 年 22 巻 6 号 p. 217-222
Electroconvulsive Therapy(以下ECT)においてプロポフォールまたはチオペンタールにて麻酔し,投与量の増減によってそれぞれを2群に分け,ECTによる痙攣時間と循環動態の変動を検討した.両薬剤ともに投与量が増すと循環動態は安定したが,投与量が少ないとチオペンタール群で変動が大きかった.プロポフォールは投与量を増すと痙攣時間が有意に短くなったが,チオペンタールは投与の増量による痙攣時間の短縮幅が小さかった.痙攣時間の観点からはプロポフォールの投与量は1.4mg・kg-1までにとどめるべきである.プロポフォールは,循環制御のため投与量をそれ以上増すと肉眼的観察をする限りECTの痙攣時間が短縮してしまう点でECTの麻酔として望ましくない.