日本臨床麻酔学会誌
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全身麻酔下で生検手術中にガス交換不全に陥った前縦隔腫瘍の1例
植田 一吉内田 一郎高階 雅紀上山 博史真下 節
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キーワード: 縦隔腫瘍, PCPS, 全身麻酔
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2003 年 23 巻 9 号 p. 276-279

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抄録
全身麻酔下で生検手術中に致命的な呼吸循環不全に陥った巨大前縦隔腫瘍の症例を経験した.麻酔導入時より呼吸音から左気管支の閉塞が認められた.麻酔開始1時間後より気道内圧の上昇と酸素飽和度の低下が起こり,気管狭窄部を越えてチューブを進めると換気の改善はみられたが酸素飽和度は上昇しなかった,酸素飽和度が50%台に低下したため経皮的人工心肺補助(PCPS)の準備を開始した.血圧低下と徐脈にはエピネフリンの大量投与で対応した.PCPS開始により呼吸循環動態が安定した後,心臓カテーテル検査を施行したところ右肺動脈の完全閉塞が認められた.腫瘍による圧排のために左主気管支と右肺動脈の完全閉塞が起こり,ガス交換不全に陥ったと判断した.
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