日本臨床麻酔学会誌
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褐色細胞腫の麻酔管理における硫酸マグネシウムの効果
田中 淳介高橋 宏水谷 太郎内藤 裕史
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1986 年 6 巻 6 号 p. 476-481

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抄録

褐色細胞腫2症例の術中の血圧上昇に対し硫酸マグネシウムを静脈内投与し, その前後の循環動態, 血清カテコラミン濃度およびマグネシウム濃度を測定した. 症例1では平均動脈圧が10%, 体血管抵抗が17%低下したが心拍出量は変化しなかった. 投与後のマグネシウム濃度は4.72mEq/lであった. 症例2では平均動脈圧が7%, 体血管抵抗が31%低下したが心拍出量は33%増加した. その時のマグネシウム濃度は2.56mEq/lであった. 2症例ともに腫瘍操作直後の血清カテコラミン濃度は上昇しており腫瘍からの分泌の抑制には無効であった. 褐色細胞腫の術中の高血圧に硫酸マグネシウムの投与は有効で, その降圧機序は主に血管拡張作用によると思われた.

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