脳動脈瘤クリッピングの緊急手術例 (27歳, 男性) で, 挿管直後より喘息重積状態となり, 状態の改善を見ないまま手術を施行した. 各種の治療に反応せず, PaCO2は高値 (45~77mmHg) をとったが, クリッピング終了後, 自発呼吸出現とともに喘息状態は改善した. 術後は自然呼吸下にPaCO2の蓄積もなく喘息発作はおこらなかった. また術後神経学的障害を残す事なく退院した. 術前の問診では喘息の既往があったが, 術後, 最近までの頻回の喘息発作歴が判明し, アレルゲンテストで強陽性を得た. 喘息重積状態での脳外科手術施行の是非, 脳外科麻酔における術後神経障害への hypercapnia の影響度についても文献的考察を加えて報告した.