昭和41年以来21年間に弘前大学病院麻酔科および関連病院で経験した143例の抗精神薬長期服用精神分裂病の麻酔を経験し, その概要について報告した.
最初の4年間では術後死亡率が90%を越え, 次の5年間ではそれが15%に減じたが, その死亡はいずれもいわゆる突然死の形態をとるものであり, 術後2週間内に起こった.
このような事態に鑑み, 精神分裂病患者は術後重篤な合併症を起こしやすいことを念頭において, 術前, 術中, 術後の管理に検討を加え, 細心の注意を払った結果, 過去10年75例については心臓手術以外のあらゆる手術を行っているが, 突然死を含めて術後1ヶ月以内の死亡を経験していない.
このような死亡率の著明な改善について考察を加え, 併せて周術期の患者の管理の要点に言及した.