日本臨床麻酔学会誌
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小児頭頚部手術時の術中体温変化
岩本 亜津子木下 玲子岡田 邦子岩坂 日出男谷口 一男本多 夏生
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1988 年 8 巻 4 号 p. 375-379

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抄録

身体全体がシーツで被われてしまう頭頚部の手術では, 他部位の手術に比べ術中体温, 特に頭部温の上昇が多いと考えられる.
そこで, エンフルレン麻酔下に頭部及び顔面の手術を受けた6歳未満の小児を対象として, 術中の直腸温, 鼓膜温, 前額部深部温を測定した結果, 各部位での温度は, いずれも上昇を示し, 測定部位ごとの比較では, 直腸温の上昇に比べ, 前額部深部温,鼓膜温で有意に大きな上昇を示した. このような体温上昇は, エピネフリン使用時に好んで使われるエンフルレンの痙攣域値低下作用とあいまって熱性痙攣を誘発する可能性も考えられ, 頭頚部手術時の術中体温モニターとして鼓膜温の測定が有用と思われた.

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