日本臨床麻酔学会誌
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高齢者での硬膜外麻酔及び脊椎麻酔下で観察された周期性両下肢屈曲不随意運動
渡辺 誠治小野 陸内藤 裕史
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1989 年 9 巻 5 号 p. 420-425

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抄録
これは硬膜外麻酔及び脊椎麻酔下で観察された周期性両下肢屈曲不随意運動の報告である. 86歳の男性に, 胆嚢摘除術に際して硬膜外麻酔を行なった. 初回投与後およそ20分, 両下肢の不随意運動が観察された. 足関節, 膝関節及び股関節において両下肢が3~4秒かかって緩徐にかつ歯車様律動で屈曲し, その後自然に伸展位に戻る運動で, およそ20秒の間隔で反復した. この間隔が徐々に長くなり40秒毎になった後, 麻酔開始後およそ120分で消失した. 連続3日間患者の睡眠中及び覚醒時に下肢を観察したが不随意運動を認めず, 家族もこれまで見たことがないと言うことから, この患者には普段同じ不随意運動が起こらないものと思われる. 後日脊椎麻酔下で誘発再現を試みた. 2%リドカイン2mlをくも膜下腔に注入した50分後, 全く同じ様相の不随意運動が30分間観察された. 発生機序に脊随が強く関与していることがうかがわれる.
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