日本臨床細胞学会雑誌
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症例
捺印細胞標本で扁平上皮癌と推定した, 肺原発の濾胞樹状細胞肉腫の 1 例
土田 秀中里 宜正神山 晴美原口 理恵子飯島 美砂吉田 勤田中 良太杉原 志朗
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2009 年 48 巻 3 号 p. 119-123

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抄録
背景 : 濾胞樹状細胞肉腫 (follicular dendritic cell sarcoma : FDC sarcoma) はまれな腫瘍で多彩な組織像を呈し, 組織診でも低分化な癌や悪性リンパ腫との鑑別が困難な例も存在する. 今回, 捺印標本で扁平上皮癌を推定した肺原発 FDC sarcoma の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 63 歳, 女性. 胸部 computed tomography により左肺門部に左下葉気管支を巻き込む径 3 cm 大の充実性腫瘤が認められた. 気管支鏡検査時の捺印標本では, 核の腫大した比較的広い細胞質をもつ腫瘍細胞が平面的な集塊を形成し, また散在性にも出現していた. 組織学的には腫瘍細胞が束状, 交錯状に配列しながら増殖し, 免疫組織化学的検索では CD21+CD35, Follicular Dendritic Cell, Desmin, Smooth Muscle Actin が陽性であった.
結論 : 本腫瘍の多くは背景に多数のリンパ球を認めるため, 胸腺腫やリンパ上皮腫との鑑別が, 腫瘍細胞の形態からは扁平上皮癌との鑑別が重要となるが, 肺のようなまれな発生部位で標本の背景にリンパ球の出現が少ない症例では, FDC sarcoma を細胞診で推定することは困難なことが多いと考えられるが, クロマチンが繊細で扁平上皮癌の所見と異なる場合は本症を考慮する必要があると思われた.
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© 2009 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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