日本臨床細胞学会雑誌
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特集 <細胞診はどこまで中皮腫に迫れるか>
スコアリングによる中皮腫と反応性中皮の鑑別診断
木村 伯子土田 貴美子荒谷 義和高島 且統阿部 和子池田 健池田 仁工藤 和洋下山 則彦石舘 卓三
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2009 年 48 巻 5 号 p. 336-341

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抄録

目的 : 私達は中皮腫の細胞診に特徴的な所見をスコア化し, 中皮腫診断におけるその有用性を検討した.
方法 : 病理組織診断により中皮腫であることが確認された 19 例の体腔液を検討した. 腫瘍の発生部位は胸膜 17 例, 腹膜 2 例で, 上皮型 11 例, 二相型 3 例, 肉腫型 5 例だった. 性別は男性 17 例, 女性 2 例だった. 対照として, 任意に選択した癌性胸・腹膜炎 30 例, ClassIIIと診断された反応性中皮 13 例を検討した. 中皮腫に特徴的と考えられている項目に配点をしてその合計点数を数えた. スコアリングの項目と配点は以下のとおりである. 細胞の大小不同性 1 点, 全周性絨毛, ウィンドウ, ブレブを 1 点, 核異型 1 点, 大型好酸性核小体 2 点, 8 核以上の多核細胞 2 点, 相互封入像 1 点, 細胞密度が高いシート状細胞集塊 1 点, ミラーボール様の細胞集塊 1 点で合計点数を 10 点とした.
成績 : 中皮腫では 10 点が 4 例, 9 点が 6 例, 8 点が 3 例, 7 点が 3 例, 6 点が 1 例, 5 点が 2 例で 4 点以下はなかった. 一方, 反応性中皮細胞は腹膜由来乳頭状癌の 1 例が 7 点と OK432 を用いた胸膜炎の 1 例が 4 点であるのを除くと, 全例 3 点以下だった.
結論 : 本スコアリングは中皮腫の診断に有用だった.

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© 2009 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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