日本臨床細胞学会雑誌
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原著
細胞診標本における改良 in situ PCR 法
—シングルコピー HPV の検出—
岡山 香里大河戸 光章熊谷 朋子藪崎 宏美吉永 陽樹福井 正藤井 雅彦
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2010 年 49 巻 6 号 p. 393-399

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抄録

目的 : シングルコピーの HPV-DNA を簡易的に可視化すべく, 従来の in situ PCR 法を改良し, catalyzed signal amplification in situ hybridization (CSA-ISH) 法との比較検討を行った.
方法 : 対象は HeLa, SiHa, HL60 培養細胞と軽度扁平上皮内病変 (low grade squamous intraepithelial lesion, LSIL) と判定された 5 例の細胞浮遊液である. in situ PCR 法は前処理, PCR 条件を再検討して改良した. また固定時間の違いによる in situ PCR 法と CSA-ISH 法の染色性の比較を行った.
成績 : in situ PCR 法による HPV 18 型の検出において, 前処理は 0.01%トリプシンで 2 分 0∼50 秒, PCR 条件は熱変性 90°C, 30 秒, アニール 59°C, 30 秒, 伸張反応 72°C, 30 秒の 25 サイクルが最適であり, この条件の下で HeLa の核にびまん性の陽性像を認めた. 固定条件の違いにおける両染色法の比較では, in situ PCR 法の染色性は固定時間の影響を受けにくいことがわかった. また改良した両染色法で SiHa の核に特異的な陽性像が観察された.
結論 : エタノール固定した塗抹標本上の細胞を用いて, 改良 in situ PCR 法でシングルコピーの HPV-DNA を可視化することに成功した.

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© 2010 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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