日本臨床細胞学会雑誌
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原著
腹腔内における子宮体部原発類内膜腺癌の細胞所見
—細胞学的特徴と病理学的背景について—
松井 成明涌井 架奈子伊藤 仁北村 隆司梶原 博村上 優佐藤 慎吉光谷 俊幸安田 政実長村 義之
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2010 年 49 巻 6 号 p. 400-405

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抄録

目的 : 子宮体部原発類内膜腺癌の腹腔内における細胞像および病理学的背景について検討した.
方法 : 2000∼2006 年まで組織学的に子宮体部原発類内膜腺癌と診断され腹水および腹腔洗浄液中 (以下, 腹腔細胞診) に腫瘍細胞が出現していた 33 例を対象とした. これらをもとに細胞, 組織学的所見および病理学的背景 (1, Grade による比較 ; 2, 組織学的深達度 ; 3, 腫瘍局在 ; 4, 腫瘍径) について検討した.
成績 : 腹腔細胞診に出現する類内膜腺癌を Grade 別にみると G1, 51.5% ; G2, 39.4% ; G3, 9.1%. 腺癌細胞は, G1, 2 ではおおむね大小の細胞集団として出現し, G3 は小型細胞集団および散在性に出現していた. また, 腺癌細胞の出現に加え, 扁平上皮化生様の変化を示す異型細胞 (squamous metaplastic-like cells ; 以下, SMC) が散在性あるいは腺癌細胞と混在して出現していた (54.4%). Grade 別の頻度は G1, 61.1% ; G2, 33.4% ; G3, 5.5%. 出現率は 1+, 33.3% ; 2+, 55.6% ; 3+, 11.1%を示していた. また, 腹腔内への腫瘍細胞の出現は, 組織学的深達度, 腫瘍径とは関係なく, びまん性増殖を示すものが高い傾向を示していた.
結論 : 術前診断において類内膜腺癌が推定される際には, 腹腔内に SMC が出現することを念頭におき, これらの細胞像に十分留意することが重要と考えられた.

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© 2010 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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