日本臨床細胞学会雑誌
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原著
子宮頸がん検診におけるベセスダシステム 2001 導入に向けた取り組みと課題
白山 岳史清野 重男小林 則子阪埜 浩司藤井 多久磨青木 大輔
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2011 年 50 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

目的 : 東京都世田谷区の子宮頸がん検診に, ベセスダシステム 2001 : The Bethesda System 2001 (TBS) 導入時の課題や問題点を把握するため細胞診判定と標本の適否を検討した.
方法 : (1)2007 年 12 月から 1 年間 TBS を使用した. 意義不明な異型扁平上皮細胞 (ASC-US) 以上を要精密検査とし精検結果を追跡した.
(2)2008 年 12 月分 1273 件を再鏡検し, 各施設の取り扱い数や不適正標本の割合を調査した.
成績 : (1)検診受診者数 14468 人中, 要精検率は 1.31%, 内訳は ASC-US 0.39%, HSIL を除外できない異型扁平上皮細胞 (ASC-H) 0.08%, 異型腺細胞 (AGC) 0.04%, 軽度扁平上皮内病変 (LSIL) 0.44%, 高度扁平上皮内病変 (HSIL) 0.34%, 扁平上皮癌 (SCC) 0.02%, であった. 子宮頸部上皮内腫瘍 (CIN1) 以上の検出率は LSIL, HSIL, ASC-US, ASC-H それぞれ 76.7%, 79.4%, 65.6%, 75%であった. (2)TBS に基づく不適正標本の割合は全 46 施設の平均 6.8%であった.
結論 : 今回 ASC-US または ASC-H より 67.5%の CIN1 以上の病変が認められたことなどから, 今後は ASC について細胞診判定の妥当性を検討する必要があると考えられる. TBS 導入により不適正標本の把握と, 標本作製工程の管理が可能となり, これらの取り扱いと是正が課題となる.

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