背景 : 胞巣状軟部肉腫 2 例の捺印細胞像について報告する.
症例 : 10 歳代女性 (症例 1) と 50 歳代女性 (症例 2) の 2 例の胞巣状軟部肉腫の術中捺印細胞診標本を対象とした. 細胞像は 2 例ともに, 細胞質がライトグリーン好性で泡沫状, 核縁は薄く, 核クロマチンは細顆粒状であったが, 核小体の形態や数, 核の大小不同に違いが認められた. PAS 染色, Giemsa 染色で明瞭な針状結晶を認めた. 組織像は症例 1, 2 ともに, 好酸性顆粒状, もしくは淡明で豊富な細胞質を有する腫瘍細胞が胞巣形成性に増殖し, 明瞭な核小体と PAS 染色陽性の針状結晶を認めた.
結論 : 胞巣状軟部肉腫の細胞診において, Giemsa 染色を併用して針状結晶を容易に可視化できるようにすることは本腫瘍を推定するうえで有用と考えられた.