目的 : 硝子体および眼内かん流液細胞診について臨床細胞学的に検討し, 眼内かん流液の有用性について考察した.
方法 : 1991∼2009 年までに施行された硝子体および眼内かん流液細胞診 64 例を対象に年齢, 性別, 臨床症状, 疑われる疾患, 細胞判定, 最終診断について検討した.
成績 : 平均年齢は 60.8 歳で高齢に多く, 男女差はほとんどみられなかった. 眼所見では大部分の症例で硝子体混濁がみられ, 臨床的にはブドウ膜炎および眼内炎が疑われた. 細胞診では陰性 50 例, 陽性・疑陽性が 14 例で, 3 例の感染症, 7 例のサルコイドーシス, 14 例の悪性リンパ腫の診断がみられた.
結論 : 近年, 分子生物学的手法を含めた新しい検査法が検討されているが, 硝子体液は採取量が少量であり, 検索には限界がある. 眼内かん流液細胞診の結果を踏まえた検査法の選択が眼内病変に対する診断精度の向上に寄与するものと考えられる.