日本臨床細胞学会雑誌
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原著
Triple negative 乳癌の細胞学的検討
高水 竜一三村 明弘谷川 直人佐久間 貴彦川野 潔
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2013 年 52 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

目的 : Triple negative 乳癌 (TN) とはエストロゲンレセプター (ER), プロゲステロンレセプター (PgR), HER2 発現がいずれも陰性の乳癌である. 今回, TN および basal-like (BL) の細胞像を明らかにすることを目的に細胞像について検討を行った.
方法 : 当院における TN 乳癌 46 例を対象とした. これら TN 群に cytokeratin 5/6 および epithelial growth factor receptor (EGFR) 染色を施行し, 少なくともいずれかに陽性を示した 30 例を BL 群とした. これらに luminal subtype 20 例と HER2 subtype 10 例を加え, 細胞学的検討を行った.
成績 : TN/BL の細胞像として, 壊死性背景, 散在性出現パターン, リンパ球の随伴, 単純な細胞集塊の形態, 裸核細胞や巨細胞・扁平上皮化生様細胞の出現, 核が大型であるなどの所見が認められた.
結論 : TN 群と BL 群はほぼ同様の細胞所見であった. また, これらの 2 群と HER2 群はいくつか相違を認めたが, 重複する所見も多く認められた. 一方, luminal 群とは多くの相違がみられ, 浸潤性乳癌の最も多くを占める luminal 群と TN/BL 群との鑑別は可能であると考えられた.

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© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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