日本臨床細胞学会雑誌
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症例
多数の樹枝状集塊を認めた多形腺腫の 1 例
佐々木 陽介北村 隆司増永 敦子楯 玄秀本間 まゆみ矢持 淑子光谷 俊幸瀧本 雅文
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2013 年 52 巻 6 号 p. 595-601

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抄録
背景 : 多形腺腫 (PA) は唾液腺腫瘍のなかで最も発生頻度が高い. その多彩な細胞像とは異なり, 粘液腫様間質に乏しく多数の樹枝状集塊を認め, 腫瘍細胞には核溝, 核内封入体がみられたことから診断に苦慮した PA の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 40 歳代, 女性. 左顎下部に腫瘤を自覚し当院受診. 頸部エコーでは同部に 17.4 mm×13.5 mm の境界明瞭な腫瘤を認めた. 細胞診標本では, 多稜形, 類円形細胞から構成された樹枝状構造を示す大型細胞集塊を多数認め, 一部の細胞に核内細胞質封入体が観察された. 摘出した腫瘍の大部分は充実性で, 辺縁部に粘液腫様間質を認めた. 中心部付近に形質細胞様細胞, 多稜形細胞の集簇がみられ, 核内封入体や大型核を有する bizarre cells を認めた. 一部には血管を中心とした硝子様間質成分と, その周囲で上皮様の筋上皮細胞が増殖する領域がみられた. 明らかな被膜外浸潤は認められず, PA と診断した.
結論 : 唾液腺穿刺吸引細胞診では同一の腫瘍でもその採取部位によって細胞像が大きく異なる場合がある. 組織推定が困難な細胞像に遭遇した際は, PA を鑑別疾患の一つとしてあげ, 判定することが重要と考えられた.
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© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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