日本臨床細胞学会雑誌
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海外レポート
ラオス国における自己採取型器具を使用した子宮頸がん検診の検討
黒島 義克大竹 賢太郎楾 清美松崎 晶子齊尾 征直吉見 直己
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2014 年 53 巻 1 号 p. 55-59

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抄録

目的 : ラオス国は開発途上国で, いまだ女性の死亡原因の一位は子宮頸がんである. しかし, その予防のための検診のみならず, 細胞診に関しても十分に実施されていない. 今回, 健常女性における子宮頸部細胞診スクリーニングを実施・検討した.
方法 : ラオス国首都ビエンチャン市内の 3 つの地区に居住する 22~65 歳の健常人ボランティア女性の総数 1000 名に対して自己採取型の加藤式自己搾過法器具を使用して子宮頸がん細胞診検査を実施した.
成績 : 細胞診判定はベセスダシステム 2001 に準拠した. NILM ; 893 例 (89.3%), ASC-US ; 33 例 (3.3%), LSIL ; 19 例 (1.9%), ASC-H ; 3 例 (0.3%), HSIL ; 1 例 (0.1%), SCC ; 1 例 (0.1%), 不適正標本に関しては 50 例 (0.5%) であった. また, HPV 感染を示唆する koilocytosis を呈する症例は 24 例 (2.4%) であった.
結論 : LSIL 以上の要精検率に関しては, 日本と比較すると 2 倍を示し明らかに高い印象であった. koilocytosis を呈する症例数も本邦と比べて多い傾向であった.

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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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