日本臨床細胞学会雑誌
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原著
子宮癌肉腫における術前内膜細胞診の意義
志賀 尚美岡本 聡海法 道子宇都宮 裕貴永瀬 智高野 忠夫新倉 仁伊藤 潔八重樫 伸生
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2014 年 53 巻 1 号 p. 7-12

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抄録
目的 : 子宮癌肉腫の診断と治療における術前内膜細胞診の意義を検討した.
方法 : 当院で過去 11 年間に子宮悪性腫瘍を疑われ精査した症例で子宮癌肉腫と最終診断された 31 例の術前内膜細胞診, 内膜組織診と最終診断を検討した. また同じ条件下で内膜細胞診にて癌肉腫を推定した 13 例の最終診断を検討した.
成績 : 最終診断と一致したのは内膜細胞診で 10 例, 内膜組織診で 14 例であった. しかし, 癌肉腫もしくは癌腫と診断した症例は内膜細胞診で 27 例, 内膜組織診で 26 例, 内膜細胞診と内膜組織診どちらか一方では 30 例であった. また, 内膜細胞診で癌肉腫を推定した症例の最終診断の上皮性成分は癌腫と推定した症例に比較して有意にI型体癌が多かった (p=0.0068). 次に, 内膜細胞診で癌肉腫を推定した症例の最終診断は 13 例中 10 例が癌肉腫, 3 例が癌腫であった.
結論 : 子宮癌肉腫の術前内膜細胞診は高い割合で癌肉腫もしくは癌腫を診断しており, 内膜組織診と組み合わせることでさらに診断能は向上した. 子宮癌肉腫の治療は子宮体癌に準じているので術前の内膜細胞診と内膜組織診との組み合わせにより治療方針はほぼ適切に決定できる可能性が示唆された.
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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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