日本臨床細胞学会雑誌
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原著
甲状腺細胞診「鑑別困難」のベセスダシステムによる検討
竹沢 奈緒子坂本 穆彦小松 京子藤山 淳三古田 則行戸田 和寿元井 紀子杉山 裕子
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2014 年 53 巻 4 号 p. 251-256

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抄録

目的 : 新しく提唱された甲状腺細胞診ベセスダシステムの注目すべき点の一つとして, 「鑑別困難」を AUS/FLUS と FN/SFN に二分したことがあげられる. 本研究では「鑑別困難」をベセスダシステムによって再分類し, その結果について検討した.
方法 : 2010∼2012 年に, 当院にて施行された甲状腺穿刺吸引細胞診および他院借用標本再鏡検例を対象とした.
成績 : AUS/FLUS は全体の 7.9%, FN/SFN は 4.2%であった. AUS/FLUS とされたうち 30.4%が手術され, その組織診断は悪性が 88.6%で, そのうち乳頭癌が最も多く 71.4%, 次いで濾胞癌, 悪性リンパ腫, 髄様癌であった. FN/SFN とされたうち 36.0%は手術され, その組織診断は悪性 72.7%, 良性 27.3%であった. そのうち濾胞性腫瘍であったのは 54.5%であった.
結論 : わが国でも現行の取扱い規約の判定区分に変わり, 近い将来ベセスダシステムが細胞診の判定に採用されるという流れの中で, その運用にあたっては, 各カテゴリーにおいて予測される組織型およびその比率や例外事例を認識することが新判定区分への円滑な移行に肝要である.

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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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