日本臨床細胞学会雑誌
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原著
ASC-US における HPV-DNA 検査の有用性に関する検討
玉手 雅人松浦 基樹竹浪 奈穂子真里谷 奨郷久 晴朗田中 綾一早川 修齋藤 豪
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2014 年 53 巻 5 号 p. 362-365

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抄録

目的 : 子宮頸部細胞診 ASC-US 例に対する HPV の検査はコルポスコープの必要性をはじめとする管理方針を決める際に重要であるため, 臨床背景や転帰を検討した.
方法 : 2010 年 1 月∼2011 年 12 月, 子宮頸部細胞診を施行した 12141 例のうち ASC-US と診断され, High Risk HPV の検索を行った例を対象に統計処理し, 検討した.
成績 : ASC-US は全体の 1.9%であった. HPV 検査を行った 73 例のうち, 66%が HPV 陽性であった. 組織診では CIN 1 が 25%, CIN 2 以上が 21%に認められた. CIN 1 であった 19 人中 15 人が細胞診陰性化した. CIN 2・3 の 12 人は, 4 人が円錐切除術となり, 残りは経過観察となった. 年齢・経産の有無・喫煙を項目に logistic 解析を行った結果, HPV 陽性であることが病変の進行に関わってくるとことが示唆された. さらに CIN をスコア化し, 年齢や HPV-DNA 検査を項目とした多変量解析を行った結果, ASC-US 例において High Risk HPV 陽性であることが CIN 進行因子となることが示された.
結論 : 適切な検体から得られた ASC-US の異形成度は多岐にわたるため, HPV 検査が判断材料となりうる. 今回, 単一施設における検討から ASC-US 例へ HPV 検査を行う重要性を再確認した.

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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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