日本臨床細胞学会雑誌
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症例
子宮頸部原発 Ewing sarcoma/primitive neuroectodermal tumor の 1 例
—捺印細胞像と LBC 細胞像の比較—
川嶋 大輔上原 俊貴金谷 直哉下代 清香井上 佳奈子桑岡 勲伏見 文良大屋 正文
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2014 年 53 巻 6 号 p. 493-497

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抄録
背景 : Liquid-based cytology (LBC) と捺印細胞診において異なる所見の得られた子宮頸部原発 Ewing sarcoma/primitive neuroectodermal tumor (ES/PNET) を経験したので, 細胞像を中心に報告する.
症例 : 30 歳, 女性. 主訴は過多月経および不正性器出血. 臨床的に子宮粘膜下筋腫・筋腫分娩が疑われたが, 腫瘍は子宮頸部から発生する嚢胞性腫瘍であり, 腫瘍部分切除術が施行され組織診断により ES/PNET と診断された. 捺印細胞診所見は, N/C 比の高い腫瘍細胞, 顆粒状クロマチン, 小型核小体, ロゼット様配列, 細胞質にグリコーゲンの存在が確認され典型像と思われた. しかし, LBC 検体においてクロマチンは微細顆粒状となり, 捺印細胞診と異なる所見が得られた.
結論 : ES/PNET など神経外胚葉あるいは神経内分泌への分化をうかがう腫瘍において, 顆粒状のクロマチン形態は組織型を推定するうえで重要な情報となりうるが, LBC 検体においてそれらの所見が弱まる可能性が示唆された. 免疫細胞化学的染色を積極的に行うことにより, 診断に有用な情報を得ることが可能と考えられた.
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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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