2015 年 54 巻 6 号 p. 351-357
目的 : 記述式子宮内膜細胞診報告様式は, 多施設共同研究による直接塗抹標本の検討結果から検体適正基準を設定している. この検体適正基準を液状化検体細胞診標本に適用する妥当性については, エビデンスに乏しいため検討を行った.
方法 : 直接塗抹法および SurePathTM (SP) 法による split-sample での子宮内膜細胞診, および子宮内膜組織診を採取した 1,097 例を対象とし, 集塊構成内膜上皮細胞数が 50 または 30 個以上を細胞集塊と定義した場合の不適正率や診断精度を検討した.
成績 : 内膜上皮細胞 50 個以上を細胞集塊と定義した場合, 1 検体当たりの集塊数が 10 以上認めるものは, 10 未満と比較して悪性と診断する感度が有意に高値であった (78.7% vs 36.8%). 一方, 内膜上皮細胞 30 個以上を細胞集塊と定義した場合, 50 個以上とした場合と比較して, 診断精度は有意差を認めなかった.
結論 : SP 標本では, 小型の集塊も含めた全集塊数が検体適正基準項目として重要である. 検討の結果から, SP 標本においては「1 集塊当たりの内膜上皮細胞 30 個以上の集塊が 10 以上出現している検体」を検体適正基準とすることが示唆された.