抄録
背景 : Signet ring cell 様細胞の出現を伴う膵管内乳頭粘液性腫瘍 (intraductal papillary mucinous neoplasm : IPMN) の 1 例を経験し, その腫瘍捺印細胞診を用いて特徴的な細胞所見について検討したので報告する.
症例 : 63 歳, 女性. 8 年前に分枝膵管型 IPMN が指摘され経過観察中であったが, 囊胞径の増大と主膵管の拡張を認めたため, 膵体尾部切除術を施行した. 腫瘍捺印細胞診では炎症および少量の粘液を背景に, 顕著な粘液含有を伴う signet ring cell 様細胞が疎結合性ないし孤立散在性に認められた. 病理組織所見においても, 絨毛状増殖成分の近傍に signet ring cell 様細胞がみられた. 病理診断は intraductal papillary mucinous carcinoma と判断し, MUC2 染色に陽性であることから intestinal type と診断した.
結論 : Signet ring cell 様細胞の出現は IPMN の intestinal type と gastric type を想定した細胞診断を進める必要があり, MUC 染色を加えることで組織亜型にまで言及することが可能となる.