日本臨床細胞学会雑誌
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症例
胸水に出現し, 免疫細胞化学染色が診断に有用であった唾液腺導管癌の 1 例
岩本 望石田 光明籠谷 亜希子春日 希林 裕司岩井 宗男宮平 良満九嶋 亮治
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2016 年 55 巻 6 号 p. 412-415

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抄録

背景 : 唾液腺腫瘍が胸水に出現することはきわめてまれで, 唾液腺導管癌 (salivary duct carcinoma ; SDC) の報告はわれわれが調べえた範囲内では 1 例のみである. 今回, 胸水に出現し, その診断に免疫細胞化学染色が有用であった SDC 胸膜転移の 1 例を経験したので報告する.

症例 : 57 歳, 男性. 4 年前右顎下腺腫瘍に対し, 手術療法が施行され, SDC と診断された. 3 ヵ月前に, 右胸水が貯留し, 胸水細胞診検査が施行された. パパニコロウ染色では, 炎症性背景に, 乳頭状または小型胞巣状集塊が多数出現していた. 腫瘍細胞の核は大型類円形~卵円形で, 偏在傾向がみられた. 核クロマチンは細顆粒状に増量し, 明瞭な核小体が認められた. 細胞質は比較的豊富で, 顆粒状や泡沫状などさまざまであった. また, 腺腔形成が観察され, 細胞質内小腺腔も認めた. 免疫細胞化学的に androgen receptor (AR) 陽性であったことと既往歴を考慮し, SDC と診断した. 胸膜生検にて SDC の胸膜転移と診断した.

結論 : SDC が胸水中に出現した場合, 腺癌と診断することは容易であるが, 細胞像のみで組織型の確定は困難である. SDC の特徴的な細胞像に加え, 既往歴および AR の免疫細胞染色陽性所見が SDC の確定診断に有用であると考えられる.

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© 2016 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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