日本臨床細胞学会雑誌
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原著
子宮頸部・内膜スメア two-color pattern の解析
石井 恵子浅香 志穂堀川 美栄子小林 幸弘下條 康代百瀬 正信仲田 梨恵中嶋 智之
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2017 年 56 巻 2 号 p. 85-91

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抄録

目的 : 子宮頸部および内膜スメアにおいて粘液の色調異常を認めた症例の臨床病理学的検討を行った.

方法 : 子宮頸部・内膜スメアで, two-color pattern (TCP) あるいは黄色調粘液を認めた 54 例につき臨床所見および組織像を含めた追跡調査を行った.

成績 : 54 例中 4 例は頸部・内膜の両方, うち 1 例は初回, 内膜のみに黄色調粘液細胞が認められた. 多くは頸部多発囊胞や水様帯下等の自・他覚症状があったが, 無症状でスクリーニングされた症例が 12 例あった. 54 例中 49 例で HIK 陽性であった. 胃型粘液確認後, 摘出材料にて分葉状頸管腺過形成 (LEGH) と診断された症例は 11 例, 異型 LEGH 4 例, 悪性腺腫 (MDA) 3 例, MDA を伴った胃型腺癌 1 例であった. 胃型腺癌や MDA では, 色調異常に加え腺細胞異型もみられた.

結論 : 子宮頸部・内膜スメアにおける粘液の TCP は, 胃型粘液の存在を鋭敏に反映しており, 注意深く色調を観察することによって LEGH や MDA などの胃型腺系病変の早期診断に貢献できる. TCP がみられず黄色調粘液のみが観察される症例ももちろん胃型腺系病変の可能性があるため, 腺細胞異常としスクリーニングすべきである.

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© 2017 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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