日本臨床細胞学会雑誌
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症例
細胞診において診断しえた大胸筋および気管原発顆粒細胞腫の 2 例
才荷 翼伊藤 仁芹澤 昭彦宮嶋 葉子小山田 裕行渡具知 克梶原 博中村 直哉
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2017 年 56 巻 2 号 p. 96-100

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抄録

背景 : 大胸筋や気管に発生する顆粒細胞腫はまれであり, その報告例も少ない. 大胸筋と気管に発生し, 細胞診が診断に有用となった 2 例を経験したので報告する.

症例 : 症例 1 は 60 歳代, 女性. 左乳房部に痛みを感じ, 当院を受診. 超音波検査において大胸筋内に腫瘤が指摘され, 穿刺吸引細胞診にて顆粒細胞腫が疑われた. その後, 針生検にて顆粒細胞腫と診断されたが, 腫瘍摘出は施行されず, 現在, 経過観察中である.

症例 2 は 40 歳代, 女性. 咳嗽を主訴に当院を受診. CT 検査において気管中部右側壁に隆起性病変が認められ, 気管擦過細胞診および気管生検が施行された. その後, 顆粒細胞腫と診断され, 腫瘍の摘出が行われた. 2 例とも細胞診にて, 豊富な細胞質を有し, 核は小型で N/C 比は低く, 細胞境界が不明瞭な腫瘍細胞が出現していた. 細胞質内と背景には黄色調の顆粒状物質が認められ, 顆粒細胞腫が疑われた.

結論 : 大胸筋および気管原発の顆粒細胞腫はまれであるが, 顆粒細胞腫に特徴的な細胞境界の不明瞭さと細胞質内や背景における黄色調の顆粒状物質を指摘すれば推定は可能であると思われた.

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© 2017 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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