2017 年 56 巻 4 号 p. 163-171
目的 : 顕著なアポクリン分化を伴う浸潤性小葉癌 (A-ILC) の細胞学的特徴を明らかにする.
方法 : A-ILC 4 例の細胞学的特徴を明らかにし, 比較対象となる古典的浸潤性小葉癌 (C-ILC), アポクリン癌 (AC) との類似点, 相違点について検討した.
成績 : A-ILC と C-ILC の類似点として, 1) 背景は清明で重積集塊はみられない, 2) 腫瘍細胞は孤在性, 数珠状に疎に分布する, 3) 細胞質内小腺腔を高頻度に認める (平均 15.3%), ことが挙げられた. AC との類似点として, 1) 細胞は C-ILC より有意に大型で (平均径 21.1 μm), N/C 比は低い, 2) 胞体は豊かで泡沫状・顆粒状である, 3) 核は偏心性でクロマチンは繊細均一に分布し, 明瞭な核小体を含む, ことが挙げられた. 上皮内病変の目立つ症例においては大型細胞のシート状集塊がみられ, これは捺印細胞診において顕著であった.
結論 : 乳腺細胞診において, 清明な背景の中にみられる細胞質内小腺腔を高頻度に含んだ大型異型アポクリン化生細胞の孤在性・数珠状配列は A-ILC を示唆する所見と考えられた.