日本臨床細胞学会雑誌
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症例
術前細胞診にて診断しえた胆管原発の混合型腺神経内分泌癌の 1 例
寺澤 憲昭坂谷 貴司川名 展弘小坂 達朗小林 美保鈴木 純子
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2018 年 57 巻 6 号 p. 288-293

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抄録

背景 : 混合型腺神経内分泌癌 (mixed adenoendocrine carcinoma ; MANEC) は, 胆道系神経内分泌腫瘍において, 最も多い組織型である. しかし術前に診断しえた報告はごくわずかである. 今回, 術前細胞診で神経内分泌癌 (neuroendocrine carcinoma ; NEC) および腺癌を推定し, 組織学的にも MANEC と確認できた 1 例を経験したので報告する.

症例 : 倦怠感, 黄疸を主訴に来院した 71 歳, 男性. 内視鏡下逆行性胆道膵管造影 (endoscopic retrograde-cholangiopancreatography ; ERCP) では, 下部胆管に狭窄を認めた. 擦過・胆汁細胞診では, 細顆粒状~粗顆粒状のクロマチン, N/C 比がきわめて高い NEC を考える細胞と, 腺癌を考える細胞を認めた. 細胞転写法では, NEC と考える細胞は synaptophysin 陽性を示した. 切除検体において腫瘍は, NEC と腺癌が混在する MANEC と診断した.

結論 : 低分化な腺癌を疑わせる細胞が出現した際は, NEC の存在の可能性を考慮することで, MANEC の正診率向上へとつながると考える.

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