日本臨床細胞学会雑誌
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症例
脳脊髄液中に急性前骨髄球性白血病の腫瘍細胞を認めた 1 例
神原 雅巳野田 大孝増田 一吉由谷 親夫
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2019 年 58 巻 2 号 p. 87-91

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抄録

背景 : 急性骨髄急性白血病 (acute promyelocytic leukemia : APL) は中枢神経浸潤を起こす事例があることが知られており, 今回われわれは同様の事例を経験したので報告する.

症例 : 41 歳, 男性. 持続する歯肉出血, 白血球数増加, 末梢血液中に異常前骨髄球多数を認め, 当院受診後, APL と診断. 2 度の寛解を経るも痙攣発作にて救急搬送となり, 精査の結果, 脳脊髄液の中に異常細胞を認め, 骨髄液 PCR にて PML-RARα 遺伝子が検出された. その後化学療法を継続するも永眠となった.

結論 : 脳脊髄液中に APL 瘍細胞を認めた 1 例を経験した. Pap. 標本のみでは APL の細胞診断は困難であり, MG 染色, MPO 染色の併用が有効である. 再発, 抗癌剤治療を繰り返すことにより, 染色体付加異常が変化していき, 染色体異常と形態学的変化との関わりが示唆された.

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© 2019 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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