日本臨床細胞学会雑誌
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症例
耳下腺に発生した類上皮型神経鞘腫の 1 例
軽部 晃平平井 秀明本多 将吾田崎 晃一朗三宅 真司長尾 俊孝
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2021 年 60 巻 6 号 p. 359-364

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抄録

背景 : 類上皮型神経鞘腫は神経鞘腫の特殊な組織亜型であり, その唾液腺発生は極めてまれである. 今回, 耳下腺に発生した類上皮型神経鞘腫の 1 例を報告する.

症例 : 50 歳代, 男性. 1 年前より左耳下腺腫脹を認め, 穿刺吸引細胞診にて多形腺腫や筋上皮腫が疑われたため, 左耳下腺浅葉切除術が施行された. 腫瘍捺印細胞診では, 異型性に乏しい類円形~紡錘形核, 細顆粒状のクロマチン, 小型明瞭な核小体, および淡明~顆粒状の細胞質を有する腫瘍細胞が流れ様に配列する比較的結合性の保たれた集塊として出現していた. 組織学的に, 腫瘍は境界明瞭で, 類円形~紡錘形細胞の索状, 小胞巣状, 孤立性, シート状構造を示す増殖からなり, 粘液腫様や線維性の間質を伴っていた. 壊死や核分裂像はみられなかった. 免疫組織化学的に, 腫瘍細胞は S-100 蛋白陽性, 上皮・筋上皮マーカーは陰性, Ki-67 標識率は 1%未満であった. 以上の所見から, 類上皮型神経鞘腫と診断された.

結論 : 唾液腺腫瘍の細胞診で異型性に乏しい類円形~紡錘形細胞からなる比較的結合性の保たれた集塊がみられたときには, 多形腺腫や筋上皮腫以外にもまれながら類上皮型神経鞘腫を念頭においた推定診断が必要と考えられた.

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