2022 年 61 巻 2 号 p. 98-106
目的:クラミジア感染症の子宮頸部細胞診に出現するとされる細胞質内封入体の特異性について,クラミジア核酸増幅検査成績をもとに検証した.
方法:核酸増幅検査は real-time PCR 法(qPCR)で行い,陽性 28 例と陰性 30 例をもとに,子宮頸部細胞診にみられる封入体の形態学的検索とクラミジア抗体を用いた免疫細胞化学染色(免疫染色)による検討を行った.
成績:qPCR 陽性例・陰性例ともに,顆粒状封入(ICI)や標的状所見(CTF)が約 20%に観察され,両者に統計的有意差はみられなかった.星雲状封入(NI)は,qPCR 陽性例のみに認められたが,出現率は 7.1%と低率であった.qPCR 陽性例のうち,免疫染色で陽性を示した例は 14.3%と低値であった.3 種の封入体細胞のうち,免疫染色で陽性を示した封入体は NI の一部のみであり,ICI および CTF はすべて陰性であった.また,明らかな封入体形成のない変化に乏しい細胞質にも,免疫染色で明瞭な陽性像が観察された.
結論:クラミジア感染症の子宮頸部細胞診に出現するとされた ICI および CTF は,本感染症に特異的ではないことが示唆される.クラミジア感染細胞は実際には細胞形態の変化に乏しく,細胞診での検出には限界があると考えられる.