日本臨床細胞学会雑誌
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症例
右中葉下葉間に存在した孤在性線維性腫瘍の 1 例
喜多 花緒植草 利公古澤 亜希子山下 和也吉田 功大部 誠前田 一郎
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2023 年 62 巻 4 号 p. 181-187

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抄録

背景:孤在性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:SFT)はまれな間葉系腫瘍である.われわれは右肺中葉に連続し,中下葉間に発生した SFT の 1 例を経験したので報告する.

症例:40 歳代,女性.9 年前に胸部 CT で 17 mm 大の境界明瞭,辺縁整な結節影が認められ経過観察されていた.今回の検診で胸部単純 X 線において同部位の異常陰影が緩徐増大していたため,精査目的で当院を紹介受診となった.患者希望および胸膜腫瘍疑いにより胸腔鏡下右肺中葉部分切除術を施行した.腫瘍捺印細胞診では類円形や短紡錘形核をもつ比較的均一な細胞が散在性~シート状集塊で認められた.組織診断では膠原線維の介在を伴って増生していた紡錘形細胞と分岐した血管を認め,免疫染色の結果は CD34 陽性,STAT6 弱陽性であった.以上より SFT の診断となった.

結論:SFT を診断するにあたり,細胞診所見だけでは間葉系腫瘍の診断にとどまるが,肉眼的所見や画像所見,組織学的所見,免疫組織学的所見を総合的に判断し,最終診断すべきと考える.

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