日本臨床細胞学会雑誌
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症例
EBUS-TBNA で印環細胞成分を含む ALK 陽性肺癌を認めた 1 例
岩瀬 大輔藤中 浩樹片平 くるみ立石 愛美倉澤 佳奈西尾 祥邦佐々木 志保島津 宏樹松岡 圭子伏見 博彰
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2023 年 62 巻 4 号 p. 204-208

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抄録

背景:印環細胞形態をとる癌は胃に発生する頻度が高く,肺原発のものはまれである.今回,endobronchial ultrasound-guided trans bronchial needle aspiration(EBUS-TBNA)で肺由来の印環細胞形態をとる充実型腺癌(ALK 陽性肺癌)を認めた 1 例を経験したので報告する.

症例:50 歳代,男性.嗄声を主訴に受診し,CT 撮像後,fluorodeoxyglucose-positron emission tomography(FDG-PET)で左肺門部癌疑い,左鎖骨上~肺門縦隔に多発リンパ節転移および多発骨転移を認めた.

EBUS-TBNA では,印環細胞形態をとる充実型腺癌のリンパ節転移と判断した.上部内視鏡検査が行われたが,胃癌は存在しなかった.

左鎖骨上窩リンパ節生検では,異型細胞が免疫組織化学的染色で TTF-1 と ALK が陽性となり,ALK 陽性肺腺癌のリンパ節転移と診断した.

結論:印環細胞形態をとる充実型腺癌はあらゆる臓器に発生する可能性がある.肺原発の場合は,ALK 陽性であることが多く,免疫染色にて ALK 陽性を証明することにより直接治療に結びつく.

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