日本臨床細胞学会雑誌
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症例
胸水中に多数の砂粒体を有する腫瘍細胞集塊が認められた悪性中皮腫の 1 例
山田 貴之羽原 利幸槙原 有紗吹田 大河戸田 博子田中 健大
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2024 年 63 巻 4 号 p. 185-193

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抄録

背景:びまん性胸膜中皮腫の診断には体腔液細胞診が有用であり,細胞集塊や細胞形態により推測されるが,多数の砂粒体が出現する報告はまれである.今回われわれは胸水中に多数の砂粒体を有する腫瘍細胞集塊が認められたびまん性胸膜中皮腫を経験したので報告する.

症例:患者は 60 歳代,男性.肺腺癌切除術 3 年 8 ヵ月後に CT 検査にて胸膜肥厚が認められ,胸水細胞診が提出された.胸水中には球状や乳頭状の細胞集塊が多数みられ,しばしば集塊内に砂粒体を認めた.集塊を構成する細胞の細胞質は重厚感があり,hump 様細胞質突起を認めた.核は類円形で異型が乏しく,著明な多核化を示した.これらの細胞学的所見は,集塊内の砂粒体の出現を除くと悪性中皮腫としての形態学的特徴と合致した.胸水セルブロック標本を用いた検索では,砂粒体中心部は Feulgen 反応,MTAP,LCA,CD68,αSMA で陽性を示し,組織球や筋線維芽細胞と考えられた.これらの周囲にカルシウムが沈着し砂粒体を形成する像がみられた.

結論:本例の砂粒体は,中皮腫細胞集塊内の組織球や筋線維芽細胞が体腔内で石灰化を起こした後に同心円状の砂粒体を形成したと考えられた.

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