日本臨床細胞学会雑誌
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症例
卵黄囊腫瘍への分化を伴った子宮類内膜癌の 1 例
山田 知里大池 里枝田中 瑞穂山本 侑季佐藤 朋子佐竹 立成
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2025 年 64 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

背景:卵黄囊腫瘍への分化を伴った子宮類内膜癌の細胞像に関する報告はまれである.

症例:36 歳,女性.子宮体部内膜擦過細胞診標本には円形ないし類円形細胞が軽度から高度の重積性を示す細胞集塊を形成して認められた.腫瘍細胞の核の長径は平均 8.5 μm と小さく,核クロマチンは細網状ないし細顆粒状で軽度の増量を示し,小型の核小体が認められた.細胞質は緑色調に淡染し,細胞膜は不明瞭であった.子宮内膜の生検で腺管形成のみられる類内膜癌と細胞質が淡明な腫瘍細胞の胞巣が認められ,子宮内膜癌と診断した.腫瘍は子宮内膜に存在し子宮類内膜癌と細胞質が淡明な細胞の充実性胞巣で構成されていた.細胞質が淡明な細胞は免疫染色で Cytokeratin7,Glypican3,KIT,SALL4 陽性を示し,卵黄囊腫瘍への分化を伴った子宮類内膜癌と診断された.

結論:細胞診標本に認められた卵黄囊腫瘍に由来する細胞は未分化胚細胞腫瘍とは核や核小体が小さい点で,明細胞癌とは細胞質が不透明な点で,高分化類内膜癌とは核が小さく円形である点で鑑別が可能と考えられた.

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