2025 年 64 巻 2 号 p. 73-80
背景:卵管癌では,腫瘍細胞が子宮内膜細胞診で検出されることがある.
症例:56 歳.傍胸骨リンパ節,腹膜,左付属器,子宮体部に腫瘍を認め,ダグラス窩から上腹部にかけて著明な腹水貯留を認めた.子宮内膜細胞診の所見より,子宮体癌よりも卵巣癌/卵管癌/腹膜癌を疑い,化学療法を 2 コース施行後,両側付属器を摘出し,子宮鏡下に子宮内膜を一部子宮筋層とともに生検した.右卵管に正常卵管上皮と front を形成する漿液性卵管上皮内癌を認めた.子宮内膜の病理組織診では,萎縮した正常内膜とは独立した少量の腺癌細胞の集塊を認め,子宮筋層内への腺癌の転移を疑った.化学療法を計 6 コース施行後に子宮と大網を摘出した.病理組織診で子宮筋層内と大網に高異型度漿液性癌を認めたが,子宮内膜に癌細胞は認めなかった.子宮筋層内に転移した stage ⅣB 右卵管癌と最終診断した.
結論:子宮内膜細胞診において腫瘍性背景が欠如し,正常子宮内膜細胞とともに小型集塊状に異型細胞が散在する場合は,子宮体癌よりも卵巣癌/卵管癌/腹膜癌を疑うことが可能である.