2025 年 64 巻 2 号 p. 94-101
背景:甲状腺未分化癌は悪性度の高いまれな疾患である.今回われわれは,甲状腺穿刺吸引細胞診で扁平上皮成分を含む多彩な細胞像を示した甲状腺未分化癌の一例を経験した.
症例:60 歳代,女性.頸部腫瘤を触知,急速増大を認め当院受診.頸部 CT・エコー検査で甲状腺右葉腫瘤と右頸部リンパ節腫大を認め悪性が疑われた.甲状腺細胞診で角化異型細胞が散見され扁平上皮癌が疑われた.組織所見では角化細胞を含む未分化癌と乳頭癌成分が確認され,扁平上皮分化を伴う未分化癌と診断された.細胞所見の再検討で乳頭癌成分や多彩な多核巨細胞,高度異型細胞集塊内への好中球浸潤像が確認された.
結論:甲状腺穿刺吸引細胞診で角化異型細胞を認めた場合は,扁平上皮分化を伴う未分化癌,乳頭癌の扁平上皮化生,甲状腺内胸腺癌,好酸球増多を伴う硬化性粘表皮癌,びまん性硬化型乳頭癌などを念頭に鏡検する必要がある.背景に壊死と炎症細胞を認め,多様な形態を示す大型異型細胞や核の分裂像がみられた際には,扁平上皮分化を伴う未分化癌が推定される.