日本臨床細胞学会雑誌
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腟壁よりの穿刺吸引細胞診から推定した胎児性遺残嚢胞より発生のmesonephroid carcinomaの1例
鍵田 美栄子土井 幹雄鈴木 恵子小形 岳三郎北川 龍一根本 良介根本 慎一
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1983 年 22 巻 1 号 p. 101-106

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抄録

60歳女性, 膣壁よりの穿刺吸引細胞診によって胚細胞もしくは胎児性の起源を推定したmesonephroidcarcinornaの1例を経験し, 細胞像を中心に報告した. 腫瘍は膣と尿道の問に存在し, 臨床的に尿道周囲膿瘍を疑われていた. 細胞像は乳頭状の集塊もしくは孤立散在性のhobnail typecellがほとんどであった. 細胞質内に多量のグリコーゲンと少量の脂肪を含む点が特徴的と思われた. また, 腫瘍に連続して立方上皮におおわれた嚢胞がみられ, Gartner管嚢胞の構造に類似していた. この点で, 腫瘍が胎児性遺残嚢胞 (ウォルフ管またはミューラー管由来) から発生したことが推察された.

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