日本臨床細胞学会雑誌
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子宮癌集検の評価と効率化に関する研究
杉森 甫高尾 みつ江佐藤 晶子原之園 邦子藤 幸子樋口 千鶴子手紫 美佐枝小森 恵子宇留島 美恵重松 峻夫三苫 むつ子
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1983 年 22 巻 2 号 p. 141-148

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抄録

福岡県対ガン協会で昭和43~52年の10年間に検診した38,620名について検討した.延71,302回の検診により, 2,293名の要精検者が検出され, 浸潤癌81例, 上皮内癌57例, 異型上皮88例を発見した.上皮内癌を含む癌発見率は0.19%である.検診を繰り返すと, 浸潤癌, 上皮内癌は減少するが, 異型上皮はほぼ一定の割合で検出され, 新規発生をうかがわせた.異常検出者のほとんどが細胞診によって検出されているので, 視診による要精検者の指定は不必要と考えられた.前回受診との間隔別の癌発見率は, 受診間隔1年と2年とではあまり差がみられなかったので, 2年までは間隔をあけても良いのではないかと考えられた.一方, 5年以上間隔が空くと, 初診時同様の頻度で癌が検出された.また, 癌発生率は24人/10万人/年, 細胞診誤陰性率は14.7~17%と推定された.これより, 癌の見落しをなくすには, 少なくとも連続3回の検診受診が必要と判断された.

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