日本臨床細胞学会雑誌
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絨毛癌細胞株 (BeWo, GCH-2, SCH) の細胞増殖HCG, β-HCG分泌能について
牟禮 一秀山下 幸紀林 博章佐川 正清水 哲也清野 邦義
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1983 年 22 巻 2 号 p. 209-217

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抄録

妊娠性絨毛癌細胞株 (BeWo, GCH-2) および胃原発絨毛癌細胞株 (SCH) に対して, 細胞形態, 増殖動態, HCG, β-HCGの産生動態を比較し, かつMethotrexate (MTX) 添加によるそれらの変化を観察した.いずれの細胞株もPapanicolaou染色では, 細胞質は淡青色でうすく, 核は巨大で100μ にも及び, 多数の核小体を有していた.増殖速度は, BeWo, GCH-2, SCBの順に速く認められた.HCG, β-HCG産生は, ほぼ平行して推移し, いずれの株も, 増殖遅延期に一時亢進し, 対数増殖期には減少, 定常増殖期に再び産生亢進した.その産生量はBeWo, GCH-2, SCHの順に認められた.10-5M-10-8M MTXを培養4日目に24時間添加したが, 10-5M, 10-6Mで細胞数の著明な減少が認められ, 10-7M, 10-8Mでは, その効果は一時的ですぐに増殖の開始が観察された.HCG, β-HCGの産生は, MTX添加により一時的に亢進し, 臨床的に観察される, いわゆる “細胞効果” が細胞学的にも確かめられた.これらの結果から, 3株は程度の差は認められるとはいえ, いずれも共通した細胞学的特性を備えていることが明らかにされた.

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