1983 年 22 巻 4 号 p. 711-719
婦人科細胞診の精度向上のため癌研婦人科における細胞診偽陰性例, 偽陽性例について検討を加えた
0期を含む頸癌1,525例中偽陰性は55例 (3.6%) でうち80%は0期癌であった.
偽陽性は外来患者約53,000例中クラスIIIa216例, IIIb34例, IV18例, V9例の計277例で0.5%を占め, 同時期の癌を含めた陽性例1,747例中15.9%を占めている.
偽陰性については, 病巣が小範囲の場合, また膣内操作後1ヵ月以内の再採取例に多くみられ, 細胞診再検査の時期を考慮する必要を認めた
偽陽性については真の細胞診偽陽性の場合と細胞診は真の陽性で組織診が偽陰性の場合とを明確にしなければならない.初期病変の場合外来組織診のみでは的確な病巣を切除することが困難な場合があり, 当科では0期癌のうち約12%の組織診陰性がみられ, これらは円錐切除により確定診断された
外来組織診は必ずコルポスコピー下での狙い切除をすべきで, さらに疑わしい場合は円錐切除により確定する必要がある.さらに, 細胞診陽性, 組織診陰性例については長期間にわたるフォローアップが重要である