日本臨床細胞学会雑誌
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肺腺癌細胞の悪性度
腺癌細胞の細胞形態と手術予後
南雲 サチ子宝来 威松田 実建石 竜平
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1983 年 22 巻 4 号 p. 761-768

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抄録

肺腺癌の手術予後を予測する目的で, 細胞診での腺癌細胞の形態学的特徴と, 手術予後との関連について検討した.
原発性肺腺癌の治癒切除例で, 2年以内の遠隔転移による再発死亡例8例 (早期再発群) と, 5年以上の長期生存例10例 (予後良好群) について, 術前に直接病巣採取により得られた腺癌細胞の形態を観察した.
早期再発群には, 核が大きく, 類円形で, N/C大, クロマチンは顆粒状で核内に密に均等分布し, 核小体は大きく数個認める腺癌細胞が多く出現した. 他方, 予後良好群では, 核は小さく, N/C小, 核はおれまがり状を呈し, クロマチンは疎で不均等に分布し, 核小体は1個で小さい腺癌細胞が出現した.
早期再発群に多く出現した細胞を悪性度の高い腺癌細胞, 予後良好群に多く出現した細胞を悪性度の低い腺癌細胞とした. これらの細胞の出現率から, 85例の腺癌症例について悪性度判定を行い予後を予測したところ, 手術切除成績, 術後生存率は, 悪性度段階と相関した.

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