日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部腺癌の組織学的分化度による細胞学的検討
寒河江 悟早川 修田村 元藤村 保文工藤 隆一
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1984 年 23 巻 3 号 p. 370-377

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抄録

子宮頸部腺癌endocervical typeを組織分化度によって, 高分化型 (いわゆるadenoma malignum)(以下HDA), 分化型 (以下WDA), 中等度分化型 (以下MDA), 低分化型 (以下PDA) の4つの亜型に細分類して, 各々の細胞所見の特徴と核質量を検討した.
その結果, 大別してHDA, WDAとMDA, PDAの3つに所見分類された.
HDAでは, きわめて正常頸管円柱上皮に類似し, 細胞質は豊富で高円柱状を示し, 核の大小不同, 過染性はごく軽度の場合が多く, 細胞集団は平面的・柵状に出現し, 構成細胞数は最小であった.
WDAとMDAは, 一般的な頸部腺癌の細胞所見とほぼ一致していた.
PDAでは, 孤立散在性ないし不規則重積性に細胞は出現し, 粗大顆粒状のchromatinを持ち, 大小不同の目立つ核で, 核小体も著明化していた.
核質量測定では, 分化度が低くなるにつれ, そのmodeは右方偏在し, 高倍体の細胞が増加した.
したがってこれらの特徴的所見を認識することによって, ある程度組織亜型推定に役立つと考えられ, それとともに頸部腺癌そのものを発見診断するための重要な細胞所見と考えられた.

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