日本臨床細胞学会雑誌
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ヘルペスウイルス感染細胞における経時的・形態学的観察
和田 順子木村 裕子
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1985 年 24 巻 1 号 p. 51-56

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抄録

産婦人科領域における感染症のなかでも, ヘルペスはとくに注目視されている.急性感染, 再発感染, 産道感染に加え腫瘍領域においても何らかの関連性が指摘されているためである.ヘルペスの診断は, 日常の臨床レベルでは, 確実で迅速であることから細胞診の使用が実用的である.細胞診標本におけるヘルペスの特徴ある所見がどのように出現するのか, 培養細胞にヘルペスウイルスを感染させて, 経時的に, 形態学的に観察した.
方法として, スライドチェンバーを使用し, Vero細胞にヘルペスウイルス2型を接種した.ここに2%仔ウシ血清加Eagle MEMを加え, 37℃ 炭酸ガス孵卵器で培養した.3時間おきにスライドチェンバーを取り出し, PBS (-) にて洗浄後, 95%エタノール液で固定, Pap染色を施して鏡検した.
その結果, 6時間後に細胞は集合を開始し, しだいに円形になり, 多核巨大細胞に至る.ついで核内構造は, 9-12時間後にgray degenerationが認められる.この変性したクロマチンはしだいに核の中央に移動し, 凝集し, 18時間後には封入体を形成する.
東京女子医大産婦人科におけるヘルペスの患者は0.11-0.50%の発生頻度である.

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