日本臨床細胞学会雑誌
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悪性葉状嚢胞肉腫の1例
入江 砂代杉島 節夫入江 康司笹栗 靖之森松 稔八塚 宏太
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1985 年 24 巻 1 号 p. 81-86

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抄録

52歳, 女性. 良性葉状嚢胞肉腫の摘出術後, 再発し悪性化したと考えられる症例の針生検吸引細胞像に組織像と電顕像をあわせ報告した. 細胞量は多く, 血管を中心とする放射状配列を示す悪性間質細胞と良性乳管上皮細胞群を認め, 悪性細胞は紡錘形~類円形と多彩で, 多核細胞および奇怪細胞もみられ, 核分裂像も高頻度にみられた. 核は楕円形~長楕円形でクロマチン増量をみ, 不整形な核小体を有している.細胞質内にはギムザ染色で赤色顆粒をみ, 電顕像と対比するに粗面小胞体内の網状の中等度電子密度物質に相当しプロコラーゲンが疑われた. 電顕的には多数の筋線維芽系細胞と少数の線維芽系細胞がみられ, 本症例は悪性葉状嚢胞肉腫: 筋線維芽細胞型と考えられる. 術後1年5ヵ月の現在, 再発, 転移は認められていない.

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