日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
子宮頸部扁平上皮癌における胎盤蛋白PP5, PP10, PP12の局在
飯野 孝一野沢 志朗高山 泰子栗原 操寿稲葉 憲之高見沢 裕吉
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 24 巻 2 号 p. 119-123

詳細
抄録

子宮頸部扁平上皮癌患者より得た病理組織標本および当研究室にて樹立した子宮頸癌培養株の異種移植腫瘍の組織切片を用いて, 免疫組織化学的に胎盤蛋白であるPP5, PP10, PP12の局在を検討した.
全細胞中の10%以上のものが染色されている症例を陽性とすると, 非癌扁平上皮ではPP5: 0%, PP10: 38.5%, PP12: 50%の症例が陽性であった.また, 扁平上皮癌細胞をその分化度により, 小型癌細胞・大型非角化型癌細胞・角化型癌細胞に分類し, 各胎盤蛋白の陽性率を比較検討すると, PP5は43~57%, PP12は約40%に陽性で, その陽性率は分化度に関係なかったが, PP10は, 小型癌細胞を含む症例の7.1%, 大型非角化型癌細胞を含む症例の35.7%, 角化型癌細胞を含む症例の54.5%に陽性であり, 角化傾向の強い癌細胞ほど高い陽性率で染色された.子宮頸癌培養株の移植腫瘍でもおおむね同様な傾向がみられた.以上のデータから, これら3種の胎盤蛋白の子宮頸癌の腫瘍マーカーとしての有用性に関して言及した.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
次の記事
feedback
Top